悟空の修行 (ごくうのしゅぎょう) その3

祖 師 「どうだ悟空。ものになったか」

悟 空 「おかげさまで。
      もう雲に乗って飛べるようになりました」

祖 師 「ほう。ひとつ見せてもらいたいものじゃ」

 待ってましたと悟空、
トントントーンと連続宙返りを打ちながら
空中に飛び上がる。五、六丈の高さにのぼって、
あたりにたなびく雲に乗ると、ほんの一服のあいだに、
三里ほどを往復してみせた。

悟 空 「これが雲に乗る術です」

祖 師 「はっはっは。
      それでは雲に這い上がった程度じゃ。
      一日のうちら全世界をひとまわり
      するようでなければ、雲に乗ったとは言えん」

悟 空 「そりゃ、無理というもんです」

祖 師 「成せば成る。何事もこころがけしだいじゃ」

悟 空 「お願いです。乗りかかった舟って
      いうじゃありませんか、どうせなら、
      全部教えてくださいよ!」

祖 師 「よかろう。今見ていると、
      おまえはトンボ返りをしながらのぼっていった。
      あのやり方なら觔斗雲(きんとうん)の術が
      いいだろう。 
      觔斗というのは、宙返りのことじゃよ」

 悟空を呼び寄せ、なにやらムニャムニャ秘法を授けて、

「この雲は、宙返り一回で、一万八千里飛べるぞ」

これを聞いた弟子たちは、みな口々にうらやましがった。

「いいなぁ、悟空。その雲を使って飛脚でもやれば、
食いっぱぐれないぜ」

 その夜のうちに、悟空は觔斗雲の術を会得して、
それから毎日、自由自在に飛び回った。
 ある日、弟子一同が松の木陰で議論をしていたとき、

弟子達 「悟空、おまえ、
      先生からいろいろ教わったようだが、
      できるようになったかい」

悟 空 「ええ、おかげさまで。
      わたしも一生懸命やったんで、
      まあ、ひととおり・・・」

弟子達 「ちょうどいいや、じゃあ、やってみせてくれ」

 こう言われて悟空、いささか得意になった。
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by seiten_taisei | 2001-02-19 04:50 | 児・花果山水簾洞の巻
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