花果山の石猿 (かかざんのいしざる) 1

太古のむかし、天地ができあがったとき、世界は
東勝神州(とうしょうしんしゅう)、
西牛賀州(せいごかしゅう)、
南贍部州(なんせんぶしゅう)、
北倶蘆州(ほくぐるしゅう)、
この四つにわかれた。

 さて、ここは東勝神州・・・。
 東勝神州の傲来国(ごうらいこく)ちかくの大海に、
ひとつの山がそそりたっている。山の名を花果山という。
そのいただきに、ひとつの石が置かれてあった。
石の高さは三丈六尺五寸。
周囲は二丈四尺。これにはいわれがあって、
それぞれ天周の三百六十五度、こよみの二十四気に
ならったものである。あたりには樹木ひとつなく、
石はふきっさらしのままであった。
 そもそも天地ができあがった時から、石はそこにあって、
天地日月 (てんちじつげつ) の精をあびつづけた。
こうして内部に霊気が蓄えられ、やがてこの石は
生命を宿した。
 ある日、石に割れ目ができて、中から石のたまごが
飛び出し、外気に触れてやがて孵化、ここに一匹の石猿が
生まれた。石の猿とはいえ、目鼻もあれば手足もある。
すぐに動きまわるようになって、天地四方を礼拝した。
 この時、猿の両眼から発した光が天上界に届いた。
驚いたのは天上界を治める天帝。

「あれは、なんであろう。誰か外へ出て、見てまいれ」

 さっそく、千里眼(せんりがん)と順風耳(じゅんぷうじ)の
二将軍が外へ。目を凝らし、耳をすませて下界の様子を
探ると、すぐに戻ってきた。

二将軍 「光が発しましたのは、東勝神州、傲来国の花果山
      でございます。山の石がたまごを生み、猿が
      かえりました。その猿の目の光が天上界に届いた
      のです。猿は普通のえさを食べておりますので、
      ほどなく光は消えましょう」

天 帝 「下界のものは、すべて天地の精華(せいか)から
      うまれたのじゃ。ほうっておけばよかろう」

 こうして天帝の慈悲を受けた石猿、
山の猿の仲間に入って、のんびりと、
月日のたつのも知らずに暮らすようになった。
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by Seiten_Taisei | 2001-01-16 17:25 | 児・花果山水簾洞の巻
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