如意金箍棒 (にょいきんこぼう) その4

 さて、水簾洞へ引き上げた悟空は、
手下の猿にかこまれて、上機嫌だった。
猿たちは、如意棒を持ち上げようとするが、
トンボが鉄柱に止まったようなもので、
びくともしない。

猿たち 「すげえなあ、こんな重いもの、
      どうやって持ってきたんだい」

 悟空はそばへ寄って
ひょいと持ち上げてみせ

「この宝も、これまで持ち主に巡り会えなかったのさ。
竜王は、鉄の塊だと思って何千年も蔵の中に転がしといた。
ところが、今度おれが行ったら、その鉄が
ぴかぴか光り出したってわけだ」

 ひととおり、いきさつを説明すると、
次に実演をやってみせた。

悟 空 「ちいさくなれ、ちいさくなれ」

 棒はたちまち、縫い針ほどの大きさになる。
悟空はそれを耳の中にしまった。
猿たちの拍手喝采に応えてもう一度取り出し、
こんどは手のひらに乗せる。

悟 空 「おおきくなれ、おおきくなれ」

 針はぐんぐん伸びてたちまちもとの鉄棒になる。
悟空はすっかり夢中になって、橋を渡り水簾洞の外へ
飛び出した。 
 棒を手にして神通力を使いながら「のびろ!」とひと声。
悟空の身体は、みるみる一万丈の高さ。
振り仰げば頭は泰山(たいざん)と見まごうばかり。
腰のあたりは、けわしい峰を思わせる。
目は稲妻、ぱっくり開いた口に、つるぎのような歯が並ぶ。
手にした棒はといえば、上は天に、
下は地獄にとどかんばかり・・・。
花果山の動物たちも、妖怪も妖王も、
ふるえおののきながら、この姿を伏し拝むのだった。
 悟空はすぐにもとの姿にもどり、
棒は縫い針にして耳にしまって、水簾洞に戻った。
全山の妖王が祝賀にかけつけ、
飲めやうたえの大宴会となった。
 その後、悟空は、水簾洞のことは
四匹の長老猿に任せることにした。
すなわち、二匹の赤尻猿は馬元帥(ばげんすい)と
流元帥(るげんすい)、
二匹の通背猿は崩将軍(ほうしょうぐん)と
芭将軍(はしょうぐん)、それぞれ位につけて、
軍事、賞罰をこの四匹に代行させ、
四健勝(しけんしょう)と呼ぶことにした。
そして、自分はこまごまとした雑用をはなれて勝手きまま、
西へ東へ、雲を飛ばしては、英雄、豪傑、賢才と
交わりをむすんだのであった。
なかでも、つぎの六人、 牛魔王(ぎゅうまおう)、
蚊魔王(こうまおう)、鵬魔王(ほうまおう)、
獅駝王(しだおう)、瀰猴王(みこうおう/ 瀰 は、
さんずい ではなく けものへん)、
偶戎王(ぐしゅうおう/戎 は、けものへん がつく) とは、
義兄弟のちぎりをむすび、
これに美猴王 (びこうおう・悟空のこと) を加えた
七兄弟は、毎日集まっては話し合い、
酒を酌み交わしたのである。
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by seiten_taisei | 2001-03-21 21:22 | 児・花果山水簾洞の巻
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