如意金箍棒 (にょいきんこぼう) その3

 そこへ現れたのは、竜王の夫人と娘。
竜王に近づいて、

「ねぇ王様、奥の蔵に神珍鉄(しんちんてつ)が
しまってあるでしょ。ほら、天の河(あまのがわ)の
底がために使うっていう・・・。 
あれが二、三日前からぴかぴか光を出して、
瑞気がたちのぼっているのよ。ひょっとして、
このお方を待っていたのじゃないかしら」

竜 王 「あれはおまえ、むかし、禹(う)が
      洪水を治めたとき、海の深さを測るのに使った
      おもりだよ。 鉄のかたまりでは、
      武器の役にはたたないだろう」

夫 人 「かまわないわよ。ともかくあげちゃって、
      勝手にさせたらどう?
      こちらはお引取り願えれば、
      それでいいんですから」

それではと、竜王が悟空に話をする。

悟 空 「ここへ出してもらいたいな」

竜 王 「とてもとても、動かせるようなものではない。
      ご自分で行かれるがよろしい」

悟空「どこだい? 案内してくれよ」

 蔵に行ってみると、なるほど、
金色の光がいっぱいにみなぎっている。
 光を出しているのは、一本の鉄柱、
太さは一斗升ほど、長さは二丈あまりである。
悟空は、そでをまくりあげて近寄ると、
両手でそれをたたいてみた。

悟 空 「もう少し細くて短いといいんだけどな」

つぶやいたとたんに、鉄柱はするするとちぢまった。

悟 空 「まだちょっと太すぎるな」

ゆすりながら言ってみると、すーっと細くなる。
悟空は大喜びで、蔵からだして念入りに眺めてみた。
真っ黒な鉄棒の両端に、金のたががはまっていて、
そのそばに文字が彫ってある。

 如意金箍棒、重さ 一万三千五百斤

悟 空 「如意か。なるほど意の如しだ。
      この棒は、おれの考えどおりの太さになるんだな」

 歩きながら、手でゆさぶって

「短くなれ、細くなれ」

鉄棒は長さ二畳、太さはおわんくらい、
ちょうど手ごろの大きさになる。
その如意棒をびゅんびゅん振り回しながら、悟空は
水晶宮に戻ってきた。竜王や家来たちは、
びくびくしながらそれを見ている。

悟 空 「こいつはいいや、どうもありがとさん。
      だけど、こうなると身なりが合わないな。
      ついでのことに、よろいかぶと一式を戴きたい」

 無理難題をふっかけられて、竜王は大よわり、
しかたなしに弟を呼び寄せた。
弟というのは、南海竜王、北海竜王、西海竜王の
三人である。
はなしを聞いて西海竜王、

「にいさん、ここはおとなしく聞いてやろう。
あとで天帝に訴えれば、きっととっちめてくれますよ」

そこで北海竜王が歩雲履(ほうんり)というくつ、
西海竜王が黄金のよろい、南海竜王が紫金の冠、
それぞれを持ち寄って、悟空に差し出した。
悟空は大喜びで着用におよぶと、
如意棒をふりまわしながら

「それじゃ、あばよ」

 悟空が帰っていくと、竜王たちは訴状を作り、
天帝におそれながらと訴え出たが、それは後日の話。
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by seiten_taisei | 2001-03-20 01:43 | 児・花果山水簾洞の巻
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